日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻Synechocystis sp. PCC 6803におけるリン酸イオン応答性ヒスチジンキナーゼSphSのシグナル検知ドメインの機能解析
*木村 聡白岩 善博鈴木 石根
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p. 0455

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抄録
SphSは、ラン藻Synechocystis sp. PCC 6803の無機リン酸欠乏応答に関わるヒスチジンキナーゼであるが、SphSがその刺激を認識する分子機構は未解明である。一般にヒスチジンキナーゼは、N末側でシグナルを受容し、C末のキナーゼドメインの活性を調節する。本研究では、SphSのN末端に存在する疎水性領域とPASドメインのシグナル応答に関わる機能を、改変型SphSをSynechocystis細胞内で発現させ、SphSに発現が制御されるアルカリフォスファターゼ(AP)の活性を指標として調べた。PASドメインの欠損やドメイン内の点アミノ酸置換によって、リン酸の有無に関わらずAP活性を誘導したことから、PASドメインがリン酸シグナルの受容に重要であることが示された。一方、疎水性領域の欠損はAP誘導性を消失したが、その疎水性領域を他のタンパク質の疎水領域と置換した場合は、APの誘導性は維持された。従って、SphSの疎水性領域は、シグナルの受容に直接関わっていないことが示唆された。SphSは、大腸菌で発現させると疎水領域依存的に膜局在性を示した。以上の結果から、SphSが活性を示すにはN末端の疎水性領域でいずれかの膜上に局在することが必須であり、そのリン酸応答性はPASドメインの機能により制御されていると考えられた。
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© 2009 日本植物生理学会
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