日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの花茎形成におけるペクチンメチルエステラーゼの機能
*佐藤 香梨横山 隆亮西谷 和彦
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p. 0489

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抄録
ペクチンメチルエステラーゼ(PME)はペクチンのメチルエステル基を脱メチル化する酵素である。 PMEはファミリーを形成し、ペクチンの脱メチル化により細胞壁の力学的特性を調節する機能を持つと考えられているが、個々の遺伝子の生理機能は未解明である。私たちは、シロイヌナズナの細胞壁関連遺伝子群の網羅的な解析に基づき、PME遺伝子の一つであるAtPME61が花茎の中部から基部に掛けて、皮層周辺の組織で特徴的な発現を示すことを見出し、その遺伝子の役割について解析を進めてきた。その結果、AtPME61は花茎の支持組織形成において重要な役割を担うことを示す結果を得たので報告する。
AtPME61遺伝子を欠損したT-DNA挿入変異体pme61は、野生型に比べて花茎が細く、力学的な強度も低下していた。pme61変異体の花茎基部の皮層周辺を観察したところ、特定の細胞列での形態異常が見られた。JIM5及び JIM7抗体を用いた免疫蛍光抗体法による観察からpme61変異体では花茎基部の皮層周辺の細胞で細胞壁のメチルエステル化率が高く、またPME酵素活性の測定結果より花茎基部でPME活性が顕著に低下していることをそれぞれ明らかにした。以上より、AtPME61はシロイヌナズナ花茎の基部において主要なPMEとして働き、花茎の支持組織形成に必須の役割を担っていると結論づけた。
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© 2009 日本植物生理学会
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