日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネのエンド型キシログルカン転移酵素/加水分解酵素(XTH)の機能解析
*原 吉直横山 隆亮西谷 和彦
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p. 0490

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抄録
キシログルカンはタイプ1と呼ばれる細胞壁において、セルロース微繊維間を架橋している主要なマトリックス高分子である。エンド型キシログルカン転移酵素/加水分解酵素(XTH)は、このキシログルカンの切断や繋ぎ換えを触媒することで、細胞壁の構築・再編をもたらす。一方、ツユクサ亜綱の単子葉植物の細胞壁はタイプ2と呼ばれ、キシログルカンはその含量や分子構造から架橋性構造は担っていないとされてきた。しかし、タイプ2細胞壁をもつイネにおいても、ゲノム上に29のXTH遺伝子が存在することが明らかとなった。これらの遺伝子は器官・発生段階毎に様々な発現様式を示し、イネ細胞壁においてもXTHは何らかの重要な機能をもつ可能性が考えられた。
そこで本研究ではイネ細胞壁におけるXTHの役割を解明するため、葉身や節間の伸長域で特異的に高い発現を示すOsXTH19に着目した。OsXTH19の組換えタンパク質を用いて酵素活性の測定を行った結果、OsXTH19はキシログルカンの転移活性と加水分解活性の両方をもつことが明らかとなった。このことから、イネ細胞壁においてもキシログルカンが何らかの役割を担っていることが示唆された。OsXTH19欠損変異体やpromoter::GUS形質転換体の解析等の結果と合わせて、イネ細胞壁におけるキシログルカンやXTHの機能を考察する。
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© 2009 日本植物生理学会
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