日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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余剰光エネルギー存在下における光合成電子伝達制御の解析
*三田 智子吉田 和生宗景 (中島) ゆり明石 欣也横田 明穂
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p. 0501

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抄録
強光乾燥などのストレス条件下では、吸収する光エネルギーが植物体内で消費されるエネルギーの量を上回るため、葉緑体内は過還元状態になり、光合成器官が損傷を受ける。このようなストレス条件下での電子伝達制御機構について知るために、本研究では乾燥耐性能を有する野生種スイカを用いて、ストレス前後の葉緑体チラコイド膜タンパク質のプロテオーム解析を行った。ストレスに応答して興味深い挙動を示すタンパク質として、cyt b6f複合体の構成成分であり、光合成電子伝達を担う重要なサブユニットである葉緑体Rieske鉄-硫黄タンパク質に注目して解析を行った。その結果、ストレスに応答して、異なるpIを持つRieskeタンパク質スポットが新たに出現すること、またそのスポットはストレスの緩和によって可逆的に消失することを見出した。また、クロロフィル蛍光や酸素電極を用いた解析から、in vivoin vitroにおいて、ストレス条件下で光合成活性がcyt b6f複合体で下方制御されていることを示唆する結果が得られた。ストレス条件下では、cyt b6f複合体で光合成電子伝達を抑制することで、光化学系Iの光障害を防ぐという機構が存在する可能性が考えられる。また、その機構に異なるpIを持つRieskeタンパク質が関与するかどうかについても考察する。
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© 2009 日本植物生理学会
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