日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ低温馴化過程における細胞膜マイクロドメイン脂質組成の解析
*古戸 あかり南 杏鶴上村 松生
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p. 0514

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抄録
温帯性植物は氷点以上の低温に曝されると凍結耐性が増大する(低温馴化)。この過程では、細胞膜の機能を維持することが重要な因子の一つである。近年、細胞膜においてスフィンゴ脂質やステロール脂質と特定のタンパク質から形成されるマイクロドメインの機能性が注目されている。動物細胞においては膜輸送やシグナル伝達に重要な役割を果たすことが示唆されているが、植物細胞では構成成分に関する報告例にとどまり、具体的な機能はほとんど不明である。本研究では、低温馴化における細胞膜マイクロドメインの機能を理解するために、シロイヌナズナの低温馴化過程における細胞膜マイクロドメイン脂質組成の変化を解析した。シロイヌナズナ植物体より細胞膜画分、さらにそこからマイクロドメイン画分を単離し、各々の脂質解析を行った。その結果、マイクロドメインでは低温馴化過程でステロール脂質の割合が増加し、スフィンゴ脂質(グルコセレブロシド)とリン脂質が減少する傾向を示したのに対し、細胞膜ではグルコセレブロシドの割合のみが大きく減少した。マイクロドメインと細胞膜の脂質組成の変動が異なっていることは、低温馴化においてマイクロドメインが特異的な機能を有していることを示唆している。現在、低温馴化過程で変動する脂質とマイクロドメイン局在タンパク質との相互作用を解析しており、それらの結果から低温馴化におけるマイクロドメインの機能について考察する。
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© 2009 日本植物生理学会
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