抄録
近年本研究室では,トウモロコシおよびサイラトロ芽生えからのアセチルコリンエステラーゼ遺伝子(AChE)のクローニングに成功した.本研究において,我々はトウモロコシAChEのアミノ酸配列と77%および66%の相同性を有する2種類のイネAChEホモログ(rice AChE1およびAChE2)を発見し,イネにおいて各ホモログ遺伝子を過剰発現およびノックダウンした.Rice AChE1およびAChE2を過剰発現した形質転換イネは,ベクターコントロールと比較して極めて高いAChE活性を示した.そのため,両rice AChEホモログ遺伝子はイネにおけるAChE遺伝子であり,イネには2種類のAChEアイソザイムが存在することが示唆された.また,rice AChE1およびAChE2の細胞内局在性を緑色蛍光タンパク質および蛍光免疫染色法を用いて検討した.その結果,両rice AChEsは細胞外領域に局在していた.さらに,rice AChE1およびAChE2を過剰発現およびノックダウンした形質転換イネを用いて,熱および重力などの環境ストレスに対する両AChEの応答を比較検討した.(本研究は(財)日本宇宙フォーラムが推進している「宇宙環境利用に関する地上研究公募」プロジェクトの一環として行ったものである.)