抄録
ユーグレナ(Euglena gracilis Z)のAsA生合成は、高等植物のD-マンノース/L-ガラクトース経路とは異なり、D-ガラクツロン酸(D-GalUA)およびL-ガラクトン酸(L-GalA)を代謝中間体とするD-GalUA経路により進行する。この経路において、L-GalAからL-ガラクトノ-1,4-ラクトン(L-GalL)への変換にはアルドノラクトナーゼ(ALase)が関与するが、光合成生物において本酵素は未同定である。そこで、本研究ではユーグレナALaseを分子レベルで解析することにした。ユーグレナESTデータから既知のラットALaseとの相同配列を見出し、全長配列をクローン化後、大腸菌発現系を用いて組換え体酵素を作製した。ユーグレナALaseは補因子としてZn2+要求性を示し、L-GalAからL-GalLおよびL-グロン酸からL-グロノ-1,4-ラクトンへの反応を可逆的に触媒した。L-GalAおよびL-GalLに対するKm値は、それぞれ1.55 ± 0.3 mMおよび1.67 ± 0.39 mMであった。二本鎖RNA導入によりALaseのサイレンシングを行ったところ、培地中にL-GalLを添加した場合のみ正常な細胞増殖の回復が認められ、本酵素がユーグレナAsA合成に必須であることが示された。