日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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分子内二量体構造を形成するユーグレナアスコルビン酸ペルオキシダーゼの分子特性解明
*田島 奈緒子澤 嘉弘柴田 均重岡 成石川 孝博
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p. 0523

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抄録
カタラーゼを持たないユーグレナは、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)が主要なH2O2代謝酵素として機能している。今回我々は、ユーグレナAPXのcDNAを単離し、その分子特性の解明を行った。ユーグレナESTデータに基づき、ユーグレナAPXの完全長cDNAを得た。ユーグレナAPXは、一次配列のほぼ中央を境に互いに68.5%の相同性を持った2つの活性型APXがタンデムに配置されていた。分子プログラムMOEによる構造予測の結果、ユーグレナAPXは分子内二量体構造を形成することが推測された。ゲノムサザンおよび部分遺伝子配列の解析結果より、2つのAPXドメインは同一遺伝子上にコードされ、シススプライシングにより発現調節されていることが示された。また、APXのN末端上流には、102アミノ酸残基からなるユーグレナ特有のクラスII型プラスチド移行シグナル様配列が存在していた。細胞分画による局在性検討の結果、APXタンパク質は細胞質画分にのみ検出されることから、プロセッシングによって成熟型となり細胞質に局在することが強く示唆された。二本鎖RNAをユーグレナに導入しAPXの発現抑制を試みた。コントロールに比べ約20%にまでAPX活性が低下したAPX発現抑制細胞では、細胞内に顕著なH2O2の蓄積が観察された。
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© 2009 日本植物生理学会
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