日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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塩ストレス条件下における塩生植物Atriplex gmeliniの塩腺 (のう状毛) の機能に関する研究
*堤 浩一伊藤 貴之日比野 隆田中 義人高倍 昭洋
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p. 0535

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抄録
海岸地域に自生する塩生植物であるAtriplex gmeliniは、葉の表面に多数の塩腺 (のう状毛) をもつ。のう状毛とは、1~3細胞からなる柄の部分と、その頂点に位置するのう状細胞からなる組織であり、のう状細胞の部分に塩を蓄積させることが知られている。こののう状毛の塩蓄積機能によりA. gmeliniは塩ストレスに対する高い耐性を持っていると考えられているが、のう状毛が耐塩性にどのような役割を果たしているのかを検討した報告はほとんどない。
そこで本研究では、のう状毛の耐塩性に関する機能を調べるために、A. gmeliniに0 mM、50 mM、250 mMのNaClを含む培地で生育させたときの形態的、生理的な変化を、のう状毛と葉に分けて調べた。形態的には、通常の光学顕微鏡による形態観察に加え、Na+の局在を示す蛍光試薬であるSodium Greenを用いてのう状毛および葉組織におけるNa+の分布を調べ、各塩処理濃度間で比較をおこなった。生理的には、イオン含量、塩処理によって生合成が誘導されるグリシンベタインなどの適合溶質の含量、およびグリシンベタインの合成に関与する酵素であるコリンモノオキシゲナーゼのタンパク質含量を調べ、同様に各塩処理濃度間で比較をおこなった。
得られた結果を、のう状毛の耐塩性に関する機能という観点から考察する。
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© 2009 日本植物生理学会
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