日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナの根Cu耐性に関与するCu輸送蛋白遺伝子HMA5とCu耐性の自然変異との関係
*小林 佑理子黒田 桂史木村 圭介Southron- Francis Jennafer古澤 彩木村 和彦井内 聖小林 正智Taylor Gregory小山 博之
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0539

詳細
抄録
Cuは必須微量元素であるが、過剰なCuは根の生育を阻害する。本研究ではLer/Cvi RILsの相対根長を指標としたQTL解析から、根のCu耐性QTL1(寄与率52%)を第1染色体に検出した。全体に対する地上部のCu含量はQTL1=耐性型(Ler)>感受性型(Cvi)であり、QTL1はCuの根から地上部への移行制御に関与していると考えられた。QTL1にはCu輸送蛋白遺伝子PIB-1-type ATPase HMA5が座乗し、HMA5-KOは根のCu蓄積により超感受性を示す。LerはHMA5-KOの感受性を相補したが、Cviは相補しなかった。よってQTL1原因遺伝子はHMA5遺伝子であると結論した。CviとLer-HMA5の間には2つのアミノ酸多型が存在した。酵母相補性試験から、N923T置換がCvi-HMA5の機能損失を説明するQTNであることがわかった。この多型は、PIB-1-type ATPaseで完全に保存されているN(x)6YN(x)4Pモチーフに存在した。感受性Chi-2にも同様にP626L置換がCPC(x)6Pモチーフに存在した。しかし、40種の野生株間ではアミノ酸多型と耐性差に関連性はなく、100種類の野生株間では根からのCu移行率と根のCu耐性に有意な正相関はなかった。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top