抄録
COP9シグナロソーム(CSN)は8つのサブユニットからなるタンパク質の複合体である。CSNサブユニット1(CSN1)はCSNがもつタンパク質分解調節機能とは独立に、遺伝子の転写抑制などを介して情報伝達の制御を行なっている。この機能部位はCSN1のN末端領域(CSN1N)に存在し、植物の生存に必須である。本研究では、CSN1の制御メカニズムを解明するためにCSN1Nに結合する因子を網羅的に同定することを目指す。
これまで、動物ではCSN1N相互作用因子としてmRNA代謝に関わるタンパク質が同定されており、植物ではyeast-two-hybrid法にて植物固有の転写因子が同定されている。これらの知見を踏まえ、本研究を通じてCSN1の制御機能に関わる因子を総合的に同定し、CSN1Nの担う働きと動植物での機能の違いを解明したい。
まず、数種のタグとCSN1Nの融合タンパク質を用いて、CSN1Nの発現と可溶化条件の検討を行なった。その結果Flag-tag融合CSN1Nに着目し、植物培養細胞を用いて免疫沈降を行なって植物CSN1N結合タンパク質を単離・同定している。本発表では、植物におけるCSN1N相互作用タンパク質の同定へ向けた研究成果と、今後の展望について述べる。