抄録
最近、我々は、合成オーキシン2,4-Dの応答機構に関わる因子として新規遺伝子Small Acidic Protein 1 (SMAP1)を同定した。フェニルアラニンとアスパラギン酸に富む領域(F/D)を持つSMAP1と類似したタンパク質をコードする遺伝子が動植物において広く保存されていることから、SMAP1は重要な機能を持つのではないかと考えられた。そこで、SMAP1の機能を解明する為に、SMAP1欠失変異体aar1に完全長およびC末のF/D保存領域を欠失させたSMAP1とGFPの融合遺伝子(それぞれSMAP1-GFP、SMAP1 ΔF/D-GFP)を導入した。その結果、SMAP1-GFPは根におけるaar1の2,4-D感受性を野生型のレベルにまで回復させたが、SMAP1 ΔF/D-GFPでは回復がみられず、F/D領域がSMAP1の活性に重要であることがわかった。つぎに、抗GFP-マイクロビーズを用い、SMAP1-GFPと結合するがSMAP1 ΔF/D-GFPとは結合しないタンパク質を精製し、質量分析で調べたところ、そのほとんどがCOP9 signalosome (CSN)のサブユニットであった。以上の結果から、SMAP1はF/D領域を介してCSNと相互作用し、2,4-D応答を制御している可能性が示唆された。