日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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緑藻クラミドモナスの光化学系IサブユニットPsaHのステート遷移における機能解析
*大西 紀和高橋 裕一郎
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p. 0568

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抄録
ステート遷移は、光合成電子伝達反応を駆動する光化学系Iと光化学系IIの間の励起エネルギー分配を調節する機構である。光化学系Iのサブユニットの一つであるPsaHはおよそ10kDaのポリペプチドであり、シロイヌナズナではステート遷移に関与すると報告されているが、その分子メカニズムは不明のままである。本研究では、PsaHのステート遷移における役割を明らかにするために、高等植物に比べてステート遷移活性の高い緑藻クラミドモナスから、RNAiによるPsaHノックダウン株を作製し解析を行った。パロモマイシン耐性とウェスタン解析により形質転換株を選抜し、PsaHタンパク質の蓄積量が野生株のおよそ20%まで減少した株を取得した(PsaH-RNAi株)。得られた株の細胞をステート1および2の状態に誘導して低温蛍光スペクトルを測定したところ、ステート1では野生株と差が無かったが、ステート2では野生株よりも光化学系Iの蛍光収率が低下していた。この結果は、PsaH-RNAi株ではステート2の誘導の効率が低下していることを示しており、クラミドモナスでもPsaHがステート遷移において重要な役割を果たしていることを示している。PsaH-RNAi株における光化学系IとマイナーLHCII(CP26、CP29、Lhcbm5)との結合についても、合わせて報告する予定である。
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© 2009 日本植物生理学会
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