日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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珪藻由来のクロロフィル-cの立体構造解析とそのモデル色素の合成
*溝口 正木村 ゆうき永井 千尋国枝 道雄民秋 均
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p. 0567

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抄録
クロロフィル-c(Chl-c)は、酸素発生型光合成を行う藻類などに幅広く分布し、補助集光機能を担う色素と考えられている。Chl-cは、ポルフィリン骨格を有し、その17位にアクリレート残基(17-CH=CH-COOH)が結合しているのが特徴である。また、その8位にエチル基が結合したChl-c1やビニル基が結合したChl-c2など数種類の類縁体も存在する。Chl-cは、このような構造的特徴のため、抽出(難溶性)、単離(類縁体の存在)が極めて難しく、詳細な立体構造は未だ決定されていない。本研究では、珪藻の一種であるChaetoseros calcitransからChl-cを抽出後、精製し、HPLCによりChl-c1とChl-c2を大量に単離することに成功した。1H-及び13C-NMRを組み合わせることで、17位のアクリレート残基の回転異性構造として、cisoid構造を有すことが確認された。また、キラルHPLC及びCDスペクトルにより、エナンチオマー型光学異性構造(他のクロロフィル類はすべてジアステレオマー)として、132-(R)構造を有すことも確認された。これらの立体構造解析に加え、溶解性を向上させたモデル色素(フィチルエステル体: 17-CH=CH-COOC20H39)の合成にも成功したので、併せて報告する。
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© 2009 日本植物生理学会
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