日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シリカメソ多孔体への光合成膜タンパク質光化学系Iの導入とその機能
*上滝 千尋石坂 壮二野地 智康梶野 勉福嶋 喜章関藤 武士神 哲郎伊藤 繁
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p. 0571

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抄録
シリカメソ多孔体は内部にナノスケールの細孔を持つ物質であり、色素分子や小さなタンパク質を吸着できることが知られている。我々はこれまでに好熱性紅色光合成細菌のLH2複合体と反応中心(RC)複合体のSMMの一種であるFSMへの導入を報告した。今回は好熱性シアノバクテリアThermosynechococcus (T.) elongatusから単離した光化学系I(PS I)反応中心複合体を様々なSMM中に導入した。シアノバクテリアのPS Iは3量体を形成している分子量1068 kDaの大きな膜タンパク質複合体である。SMMへの導入によってPSIの色素環境に変化が及ばないことが蛍光とCDスペクトルにから示された。SMM内に導入することにより、PS Iの光化学活性とタンパク質の色素環境の熱耐性が向上した。反応溶液に電子供与体を加え、さらに電子受容体としてメチルビオロゲンを加えることによりSMM中のPSIの光還元能力を取り出せることがわかった。PS I-SMM-複合体は光合成システムを安定化し、太陽エネルギーを人工利用するための素材となる可能性を秘めている。
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© 2009 日本植物生理学会
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