日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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マンノース添加・無添加条件下における各種アズキ細胞の糖利用と代謝様式の比較
*加藤 晶井上 雅裕
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p. 0589

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抄録
植物細胞は様々な糖を成長や呼吸などの基質として利用している。本研究ではアズキ植物体(Vigna angularis Owhi et Ohashi)を構成する細胞とその根から誘導した懸濁培養細胞の系を用いて糖組成と糖の利用・代謝様式を比較した。その結果、従属栄養的な各植物細胞の成長には共通してスクロース(Suc)合成に至る糖の相互転換と糖ヌクレオチド合成を経由する細胞壁合成が重要であることが示された。一方、マンノース(Man)などを炭素源として与えた場合、各細胞の糖利用と代謝能力が異なることがわかった。この際、ManからSucへの転換には糖リン酸エステルの相互作用を触媒する酵素(PMI)とそれを調節するMan-6-Pの細胞内濃度が重要であることが示された。植物体では、その細胞内濃度とSuc転流との間で相反する関係が示された。上の系の中でカルス細胞だけがManを炭素源として有効利用した。その細胞のPMI活性は他の炭素源(Suc)のものより約2倍も高かった。この活性はManを含む液体培地中では直ちに減少した。また、PMI以外の酵素活性も一過的に変化していることが示唆された。本研究から、植物の細胞は共通してSucと細胞壁合成に依存した成長様式をもつこと、しかし、同じ植物の細胞でもその生理状態や栄養環境などが変わると糖利用や代謝が柔軟に変化することでその変化に対応していることが示された。
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© 2009 日本植物生理学会
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