日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

Synechocystis sp. PCC6803 におけるグルコース代謝関連遺伝子群の発現調節
*堀井 瑛介岡田 克彦酒井 勉都筑 幹夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0602

詳細
抄録
Synechocystis sp. PCC6803の解糖系遺伝子 fructose-1.6-bisphosphate aldolase (fbaA) は、光合成条件下でもグルコース存在下の5分間光パルスの間欠光条件下でも転写が誘導される。しかし、 sll1330 欠損変異株では、光合成条件下ではfbaAは発現するが、5分間パルス条件下では発現しない。このことから、光合成条件と光パルス+グルコースの従属栄養条件下とで、異なる発現調節系が働いていると考えられる。そこで、後者の調節の解析を行ってきた。sll1330はHTH型のDNA結合部位とリン酸化受容部位のモチーフを持ち、レスポンスレギュレーターをコードすると推定されるORFである。sll1330の遺伝子の発現量は、グルコースを含まない培地で暗所に置くと低下し、グルコース添加すると光の有無にかかわらず30分後には5倍以上に上昇した。連続光によるfbaAの発現誘導はグルコースの非存在下でも起こるのに対し、パルス光による遺伝子発現誘導にはグルコースが必要であり、グルコースの有無を感知するシグナル伝達と光の情報伝達との相互作用が考えられる。さらに、sll1330 欠損変異株で野生株と比べてパルス光による発現誘導効果が低い解糖系遺伝子が fbaA 以外にも見つかった。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top