抄録
高等植物の葉は向背軸、中央側方軸、基部先端部軸という3つの軸に沿って形成される。シロイヌナズナのasymmetric leaves2 (as2)変異体は、この3つの軸形成すべてに異常を示し、葉の左右非対称な切れ込みや上偏成長、主脈・葉脈全体の形成不全、葉の向軸側分化の低下など多面的な表現型を示す。AS2はメリステムの維持に関わるclass1KNOX遺伝子と、葉の背軸化の因子であるKAN2、YAB5、ETTを抑制することが分かっている。#27変異体はas2の亢進変異体として単離された。#27 as2-1二重変異体は棒状の葉を形成するが、このことは#27変異がas2の葉の向軸的性質の低下という表現型を亢進している可能性を示す。#27変異がas2の葉脈パターン形成に影響を及ぼすかを明らかにするため、野生型、as2-1変異体、#27変異体、#27 as2-1二重変異体について詳細な解析を行ったので、報告する。RNA-DEPENDENT RNA POLYMERASE6 (RDR6)は背軸化因子ETT、ARF4を分解制御するtrans-acting siRNA (tasiR-ARF)の生成にも関わっていることが知られている。我々は#27変異がこのtasiR-ARFによる制御系路に関連するかどうか調べるために#27とrdr6について遺伝学的解析を行ったので、その結果についても報告する。