日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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In vitroにおけるクロロフィル色素のC-20位メチル基転移酵素BchUの基質特異性の解析
*高橋 俊介原田 二朗國枝 道雄大岡 宏造民秋 均
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p. 0460

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抄録
バクテリオクロロフィル(BChl) cは緑色光合成細菌がもつアンテナ集光色素であり、クロリン環の20位にメチル基を有している点でBChl dと分子構造が異なる。生体内ではメチル基転移酵素であるBchUが、メチル基供与体であるS-アデノシル-L-メチオニンのメチル基を色素の20位へ転移させる。我々はBchUの立体構造解析を行ってきたが、色素結合部位の詳細な構造情報を得ることができなかった。本研究では、BchUの色素認識機構を調べるために、有機合成的に調製した様々な色素を基質に用い、in vitroでの反応解析を行った。使用した緑色光合成細菌Chlorobaculum tepidum由来のBchUは、大腸菌内で大量発現させることにより調製した。すでに我々はバクテリオクロロフィリド d誘導体の20位がメチル化されることを報告しているが、今回、クロロフィリド a誘導体を基質にした場合には20位のメチル化が生じなかった。バクテリオクロロフィリド d誘導体は、(プロト)クロロフィリド aから生成すると考えられている。上記の結果は、生体内でのBChl c合成ブランチはバクテリオクロロフィリド d誘導体が出発物質であり、BchUがこのブランチでのみ働くことを強く示唆している。他の色素を用いた反応速度論的解析も合わせて報告し、BchUの色素認識に関わる反応部位の分子構造について議論する。
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© 2010 日本植物生理学会
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