日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

微量植物試料からの高速高感度ホルモン定量技術の利用による有用遺伝子探索
*小嶋 美紀子槇田 庸絵武井 兼太郎榊原 均
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0695

詳細
抄録
植物の発生から栄養生長、花芽分化から種子形成にいたる様々な局面で植物ホルモンは情報分子として極めて重要な役割を演じている。個々のホルモンは各々の情報伝達系を介し遺伝子発現を制御するとともに、他のホルモンとの量的バランスによる相互制御により、多様な作用を可能にしている。ここ数年主要ホルモンの生合成や情報伝達に関わる重要遺伝子が同定されたが、それらの機能や種々の変異体の表現型を生理学的に説明するには実際の組織中に存在する複数のホルモン分子種含量を知ることが重要である。我々は半自動固相抽出法とUPLC-タンデム四重極質量分析器を利用することで、活性型分子種を含むサイトカイニン23種、IAAとそのアミノ酸縮合体を含むオーキシン7種、アブシジン酸、そしてジベレリン12種の計43分子種を同じ植物試料から測定する方法を確立している。さらにカルボン酸修飾試薬ブロモコリンを利用することでジベレリンなど負に荷電するホルモン分子種の検出感度を数十倍に上昇することにも成功した。この方法を用いることで10 mg ~ 100 mg新鮮重量組織から同時に180サンプルの抽出・測定ができ、一連の変異体コレクションなどのホルモンプロファイリングも可能になった。現在この技術を利用して、イネの内生ホルモン量を支配する重要遺伝子座をQTL解析により探索している。この概要についても報告する予定である。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top