日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ下胚軸のオーキシン,スクロースによる伸長生長とXTH遺伝子発現の関連性について
*菊池 智絵中川 直樹櫻井 直樹
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p. 0699

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抄録
オーキシンによる伸長誘導は,細胞壁がゆるむことで膨圧が減少し吸水生長が起きるためと考えられている.オーキシンが細胞壁をゆるませる機構については,細胞壁ヘミセルロースをオーキシンによって誘導された酵素が分解するためではないかと考えられてきた.特に双子葉植物では,エンド型キシログルカン転移/加水分解酵素(XTH)がキシログルカンを分解/つなぎ換えすることにより伸長が起きると考えられてきた.しかし,シロイヌナズナのColumbiaでは下胚軸切片がオーキシンに反応しにくいことから,オーキシンによる伸長生長とXTH遺伝子の発現の関連については詳細に調べられていない.また,スクロースなどの糖は生長制御作用を示すが,この系にスクロースが及ぼす作用も調べられていない.
そこで我々は,暗所で栽培したColumbiaの下胚軸切片をオーキシンやスクロース溶液に浸したときの伸長速度とXTH遺伝子の発現パターンを調べた.その結果,スクロースの有無に関わらずIAA存在下では2時間以降で下胚軸切片は有意に伸長した.発現パターンを調べるために,既知の33種類のXTH遺伝子の発現量をリアルタイムPCRで定量した.黄化下胚軸切片ではXTH4,15,17,18,24,27,30が他より高い発現量を示した.オーキシン作用に対するスクロースの影響についても調べている.
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© 2009 日本植物生理学会
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