日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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傷害に応答したシロイヌナズナDAD1遺伝子の発現制御機構の解明
*大野 彰子中村 研三石黒 澄衞
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p. 0711

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抄録
ジャスモン酸 (JA) は植物が食害や傷害を受けたときに急速かつ多量に生合成される植物ホルモンで、食害の進行や病原菌の感染を防ぐのに必要なさまざまな応答反応を誘導する働きがある。しかし、食害や傷害によるJA生合成の活性化がどのようにして起きるのかはよくわかっていなかった。JA生合成酵素の多くは傷害によって発現が上昇するが、その多くは生成したJAによるポジティブフィードバックを強く受けるため、傷害とJAの効果が重なってしまって両者を別々に評価するのが難しい。その点、JA生合成の最初の反応を触媒するリパーゼDEFECTIVE IN ANTHER DEHISCENCE1 (DAD1) の遺伝子は、傷害によって強く発現が誘導されるがJAにはほとんど反応しないので、傷害による発現制御機構を解析するのに有利である。これまでの解析で、DAD1の傷害による発現を制御する領域は遺伝子の3’側にあり、この領域は遺伝子の5’側につないでも傷害誘導を引き起こすことがわかっている。
そこで、この傷害誘導発現制御領域を塩基配列レベルで同定するため、DAD1の3’側領域をさまざまに欠失させてGUSレポーターにつなぎ、傷害を加えたロゼット葉での発現を調べた。その結果、この発現制御配列が存在する範囲を約40 bpの範囲に絞り込むことができた。
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© 2009 日本植物生理学会
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