抄録
ブラシノステロイド(BR)はシトクロムP450モノオキシゲナーゼ(P450)により不活性化される。シロイヌナズナ由来CYP734A1(BAS1)およびトマト由来CYP734A7は、BR生合成経路の下流に位置するカスタステロンとブラシノライドのC26位を水酸化することによりBRを不活性化することが示されている。一方、イネにはCYP734Aホモログは4つ(CYP734A2,4,5,6)存在している。これらのP450を過剰発現させたイネはCYP734A5を除いて矮小な形態を示し、内生BR含量は減少していた。そこで我々は、イネのBR不活性化機構を酵素化学的に解明することを目的として、イネCYP734Aの組換え酵素をバキュロウイルス昆虫細胞系で発現させ、様々なBR中間体を基質として酵素アッセイを行った。イネCYP734Aは広い基質特異性を示し、また、BR生合成経路における上流の中間体に対して高い活性を示した。さらに、その酵素反応生成物を詳しく解析した結果、イネCYP734AはBRに水酸基を導入し、さらにアルデヒドを経てカルボン酸へと三段階に酸化していることが明らかとなった。以上より、イネのBR不活性化機構はトマトやシロイヌナズナとは異なることが示された。