日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物の生殖器官に対する高温ストレスの影響
*阪田 忠渡辺 正夫東谷 篤志
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p. 0714

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抄録
被子植物は有性生殖を行う。雌性生殖器官である胚珠には、卵細胞や中心細胞が形成される。一方、雄性生殖器官である雄ずいは、花糸と葯から構成され、葯の中に雄性配偶子である花粉が形成される。この花粉が柱頭に付着し花粉管を伸長させ、二つある精細胞がそれぞれ胚珠の中に存在する卵細胞と中心細胞と融合する。受精後、卵細胞は胚に、中心細胞は胚乳に分化して種子を形成する。この過程を重複受精と呼ぶ。
これら配偶子形成から種子形成に至る過程は、特殊に分化した多くの細胞が関与していることに特徴があり、温度・水分・栄養などの環境ストレスに感受性が高いことが知られているが、なぜ感受性が高いのか分子レベルでの理解は進んでいない。そこで我々は、本現象に関わるシグナル伝達系を同定するために、生殖成長期に高温ストレスに感受性の高い植物ホルモン関連遺伝子の変異体を探索した。
開花期の高温ストレスに感受性が高く不稔となりやすい変異体を、3系統同定した。また、花粉形成期の高温ストレスに耐性となる変異体を1系統同定した。現在、更に変異体を探索しながら、これら変異体が高温ストレス感受性・耐性となる原因を解析しているので合わせて報告したい。
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© 2009 日本植物生理学会
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