抄録
後悔は、実際の選択の結果と反実仮想した別の選択のより良い結果の比較により生じ、反実仮想の利用可能性が高いと大きくなる。より良い結果を得られたかもしれない機会を僅差で逃すことは、大差で逃すよりも反実仮想を構築しやすいため、後悔が大きくなるとされている。また、不確実な反実仮想は利用可能性が低く、後悔が軽減されることが示唆されている。本研究では、反実仮想の利用可能性に対する僅差性と不確実性の影響を比較する。利益を逃したシナリオを用い、逃した時期が、1週間前の大差条件、1時間前の僅差条件、1週間のうちのどこかである不確実条件、いつ逃したのかに関して情報のない統制条件の4つを設定した。実験はウェブ上で行い、69名の大学生が後悔の程度を7件法で回答した。後悔は僅差条件で最も高く、不確実条件の後悔が僅差条件と大差条件の間というわけではなかった。後悔に影響を及ぼしているのは、僅差性だけではないことが確認された。