日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナAnaphase-Promoting Complex Subunit 5 遺伝子の機能解析
*四方 明格二瓶 晋中村 岳志阿部 悠紀賀屋 秀隆朽津 和幸
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p. 0719

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抄録
植物の細胞周期制御系は,多様なストレス応答系と協調的に複雑な制御を受けている.我々は,感染防御応答に伴い細胞周期調節因子cyclin Bの積極的な分解を伴う細胞周期停止が誘導されることを明らかにしている.動物や酵母の細胞周期制御において,E3ユビキチンリガーゼ複合体Anaphase-Promoting Complex/Cyclosome(APC/C)は,cyclin B等の分解に関与して細胞周期進行を制御する.APC/Cの構成因子は植物にも存在するが,その役割には不明な点が多い.本研究では,シロイヌナズナAPC5AtAPC5)遺伝子に注目し,その機能解析を行った.
AtAPC5遺伝子のT-DNA挿入突然変異体のホモ個体は得られず,遺伝学的解析からこの突然変異体は雌性配偶体致死性を示すことが明らかとなった.雌性配偶体の発生過程を調べた結果,この致死性は雌性配偶体発生の初期段階(減数分裂直後の体細胞核分裂)における発生停止によるものだった.現在,ホモ個体の得られたミスセンス突然変異体を用いて植物個体レベルの解析を進めている.一方,AtAPC5遺伝子の過剰発現体は,細胞死を誘導するカビ毒fumonisin B1に対する感受性が上昇していた.AtAPC5遺伝子に関する種々の表現型から,APC/Cの細胞周期制御,発生,ストレス応答などにおける役割について考察する.
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© 2009 日本植物生理学会
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