日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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テトラヒメナにおけるミトコンドリア局在DNAポリメラーゼの研究
*森山 崇佐藤 直樹
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p. 0733

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抄録
植物・藻類のオルガネラゲノムの複製は、我々がPOPs (plant organellar DNA polymerases)と名付けた酵素が行っていると考えられている。前年会で我々は、紅藻シアニジオシゾンの細胞から精製したPOPの酵素活性を調べ、プロセッシビティーが高いことやホスホノ酢酸によって強く阻害されることを報告した。POPsは、動物と菌類以外の多くの真核生物において広く保存されており、繊毛虫のテトラヒメナにもPOP遺伝子が1コピー存在する。テトラヒメナは葉緑体を持たないが、広義の植物(Plantae)であると考えられている(野崎, 2003)。テトラヒメナミトコンドリアのDNAポリメラーゼの研究は数例あるが、詳細な解析は行われておらず、また、以前はテトラヒメナが動物であると考えられていたこともあり、DNAポリメラーゼγとして研究が行われていた。本研究では、テトラヒメナからPOPを精製し、酵素活性をシアニジオシゾンのPOP(CmPOP)と比較することを目的とした。抗CmPOP抗体を用いた免疫ブロット分析の結果、テトラヒメナのミトコンドリア画分においてPOPが検出された。単離ミトコンドリアにおいてDNA合成活性に対するホスホノ酢酸の効果を調べたところCmPOPと同様に強く阻害された。これらの結果から、ホスホノ酢酸による阻害はPOPsの共通の性質であることが示唆された。
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© 2009 日本植物生理学会
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