日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおける異なる組織由来のカルスの解析
*杉本 薫Meyerowitz Elliot M.
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p. 0750

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抄録
植物体の組織片を、適当量の植物ホルモン存在下で培養すると、シュートや根などの植物体を構成する全ての組織が誘導される。これより、多くの動物細胞と異なり、植物細胞には分化全能性が備わっていることが古くから提唱されてきた。しかし、何が植物細胞に分化全能性をもたらしているのか、そのメカニズムは依然として多くが未解明である。再生過程の植物細胞がどのような分化状態をたどっているのか、また、異なる組織由来の再生現象同士に共通の機構が存在するのか、といった基礎的な疑問ですら未だ解明が待たれている。これらの基礎的な疑問に答えるため、われわれは、根、双葉、花弁の三つの組織を用いて植物再生実験を行い、新組織形成の前段階に誘導される無定形細胞塊(カルス)のキャラクタリゼーションをそれぞれ行った。その結果、共焦点顕微鏡を用いた根組織マーカーの観察と、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析により、われわれは、どの組織由来のカルスもみな、根端分裂組織に類似した組織であることを示した。さらに、遺伝子変異体の解析により、カルス形成と側根原基形成が、それぞれの開始段階で、同様の分子制御下にあることを示唆した。
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© 2009 日本植物生理学会
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