日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおけるuORFにコードされるペプチドによる翻訳制御の探索
*蝦名 績内藤 哲尾之内 均
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p. 0772

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抄録
真核生物のmRNAには5’非翻訳領域に小さなORF(upstream ORF: uORF)が存在する場合がある。その中でuORFにコードされるペプチドが下流のORFの翻訳制御に関与する例がいくつか知られている。それらの制御では、uORFにコードされる新生ペプチドが自身を翻訳したリボソームに作用して、uORF上でリボソームの停滞を引き起こし、それによって下流のORFの翻訳が妨げられると考えられている。ところが植物におけるuORFペプチドによる翻訳制御としては、これまでに唯一シロイヌナズナのSAM decarboxylase遺伝子の例が報告されているのみである。
本研究では、シロイヌナズナにおいて新生ぺプチドにより制御される遺伝子を新たに同定することを目的として、シロイヌナズナの完全長cDNAデータベースを用いて転写因子やアミノ酸生合成に関与する遺伝子の中から5’非翻訳領域にuORFを含む遺伝子を検索し、その中からuORFのアミノ酸配列が下流ORFの翻訳に影響を与えるものを探索した。その結果、いくつかの遺伝子においてフレームシフト変異等によってuORFのアミノ酸配列を変えた場合に、下流ORFの翻訳に影響がみられた。またそのうちの一つでは、選択的スプライシングと新生ぺプチドによる翻訳抑制の組み合わせにより制御される可能性が示唆された。
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© 2009 日本植物生理学会
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