日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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同義コドンの選択によるコード領域の翻訳効率の変化について
*中邨 真之杉浦 昌弘
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p. 0773

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抄録
メチオニンとトリプトファンを除く全てのアミノ酸には2~6種のコドンが対応しており、同義コドンの使用(出現)頻度は生物種によって異なっている。一般的にコドン使用頻度は対応するtRNA量や翻訳効率を反映していると単純に考えられてきた。しかし葉緑体では、1)RNAエディティングによりコドン置換がおこること、2)葉緑体ゲノムに存在しているtRNA遺伝子だけでは全てのアミノ酸コドンに対応できないこと、3)葉緑体遺伝子の発現調節は主として転写後の段階で制御されていること、などの理由から同義コドンの使用頻度と翻訳効率が異なっている可能性が高い。我々は、タバコ葉緑体in vitro翻訳系を基に、個々のコドンの翻訳効率を測定する手法を開発し、これを用いて葉緑体における同義コドンの翻訳効率を測定し、使用頻度との比較解析を行った。その結果、チロシンおよびフェニルアラニンをコードする同義コドンでは、使用頻度と翻訳効率が逆転していること、アルギニンをコードするCGAコドンとAGAコドンでは、使用頻度がほぼ同じであるにもかかわらず翻訳効率に約20倍もの差があること見出した。本研究では、このような同義コドンの翻訳効率の違いが、タンパク質コード領域の翻訳効率にどの程度の影響を与えているかについて、数種のタバコ葉緑体mRNAを用いて解析した。
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© 2009 日本植物生理学会
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