日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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モモ果実発達におけるL-ガラクトース経路アスコルビン酸合成酵素遺伝子の発現
*今井 剛伴 雄介山本 俊哉森口 卓哉
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p. 0802

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抄録
モモ果実は、開花後20日程度はアスコルビン酸量が2-3 μmol gFW-1であり、葉とほぼ同レベルであるが、その後急速に減少し、92日後では約15分の1の0.2 μmol gFW-1となりその後はほぼ一定であった。果実あたりのアスコルビン酸量を算出すると、その変化が緩・急・減・急から成る4期に分けられ、細胞肥大に伴う濃度の低下だけではなく、合成・代謝の結果として特徴的な変動を示していると考えられた。植物におけるアスコルビン酸の合成には4つの経路が報告されているが、果実組織への前駆物質投与によるアスコルビン酸量の変化を調べた結果、L-ガラクトースを経る経路にほぼ限定されると考えられた。そこで、この経路の6つの酵素をコードするcDNAを単離し、果実発達に伴う転写レベルの発現変化を調べた。上流の3ステップ(GMPH, GME, GGGT)は開花後43日に発現がもっとも強く、下流の3ステップ(GPP, GDH, GLDH)は21日、92日の2つのピークを示した。したがって、果実自身におけるアスコルビン酸合成酵素遺伝子の発現は約110日の発達期間のはじめ3分の1で比較的高く、エチレン放出が開始する約100日目より10日ほど前に再度一時的に高くなると考えられた。90日目以降の果実の急速な肥大に伴い、果実あたりのアスコルビン酸総量も急増するが、転写レベルと一致は見られなかった。
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© 2009 日本植物生理学会
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