日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ニンジン培養細胞におけるストレス誘導性 DcMYB1 遺伝子の発現制御に関与する転写調節因子 DcEIL の機能解析
*佐藤 俊介前田 和寛木村 惣一野間 和香奈佐々木 伸大小関 良宏
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p. 0806

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抄録
フェニルプロパノイド合成系は、植物が自然環境の中で生存していく上で重要な化合物の合成を導く二次代謝系であり、phenylalanine ammonia-lyase (PAL) はその鍵酵素であるという重要性から研究が進められてきた。
当研究室では、ニンジン培養細胞系において、紫外線照射、エリシター処理、希釈効果などの外的シグナルにより誘導されるニンジン PAL 遺伝子 (DcPAL1) およびその発現制御に関与し、同様に外的シグナルによって誘導される MYB 転写調節因子 (DcMYB1) を単離し、さらにそのプロモーター領域を解析したところ、-138 ~ -97 の領域に負のシス・エレメントが存在することが明らかになった。そこで、yeast one-hybrid 法を用いて、この領域に結合する因子の単離を試みたところ、エチレンのシグナル伝達に関与する転写調節因子 ETHYLENE-INSENSITIVE3 (EIN3) と高い類似性を有する因子 (DcEIL) が単離された。DcEIL はストレス処理前後において、その発現量には差がなく、プロテアソーム特異的阻害剤を添加することで、ストレス処理による DcMYB1 の発現量が低下することから、DcMYB1 の発現制御には DcEIL の翻訳後における制御が関与していると示唆された。
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© 2009 日本植物生理学会
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