日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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種子植物特異的R-SNAREであるVAMP727の機能解析
*海老根 一生岡谷 祐哉郷 達明井藤 純植村 知博中野 明彦上田 貴志
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p. 0811

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抄録
細胞内では小胞を介して様々な物質の輸送が行われており,SNAREとRABはこの小胞の融合を制御している鍵因子である.我々は小胞輸送が植物の高次現象において果たす役割を明らかにすることを目的とし,特にエンドサイトーシスに関与するSNAREとRABに注目し研究を行っている。近年のゲノム解析から,種子植物にはlongin domainに約20アミノ酸からなる挿入を持つR-SNARE(シロイヌナズナではVAMP727)が保存されており,より基部で分岐した植物はこれを持たないことが明らかになった.我々は,VAMP727がエンドソームにのみ局在し,VAM3,VTI11,SYP51(いずれも液胞膜とエンドソームに局在するSNARE)と,液胞膜とエンドソームの接する部分で複合体を作ること,この複合体が種子形成に重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた.RAB5はVAM3と強い遺伝学的相互作用を示し,RAB7は液胞膜に局在することから,このSNARE複合体の融合を制御するRABの候補として,これら2つのRABが考えられる.そこで現在,VAMP727-VAM3複合体形成の制御機構を明らかにすることを目的とし,これらのSNAREとRAB5,RAB7の関係について詳細な解析を行っている.また,VAMP727にのみ存在するアミノ酸挿入の意義についての解析も進めており,今大会ではこれらの結果を報告する.
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© 2009 日本植物生理学会
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