日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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液胞輸送経路で機能するAtVAM3とAtPEP12は互いの機能を代替できる
*植村 知博海老根 一生岡谷 祐哉矢野 大輔森田(寺尾) 美代齊藤 知恵子上田 貴志中野 明彦
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p. 0812

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抄録
SNAREは,細胞内の膜交通システムにおいて,輸送小胞と標的オルガネラ膜の正確な膜融合を制御する分子である.AtVAM3とAtPEP12はそれぞれ液胞膜と液胞前区画(PVC)に局在するQa-SNAREとして,液胞輸送経路でそれぞれ独立して機能すると考えられてきた.一方で,AtVAM3のT-DNA挿入変異体(vam3)は,葉の形態異常,花成遅延,ミロシン細胞分化昂進などの多面的な表現型を示すのに対して,AtPEP12のT-DNA挿入変異体(pep12)は,目に見える表現型を示さない.我々は,AtVAM3とAtPEP12の機能分化を明らかにすべく解析を行い,以下のことを明らかにした.(1)AtVAM3とAtPEP12の二重変異体は胚性致死となる.(2)AtVAM3プロモーターの制御下でGFP-AtPEP12をvam3変異体に発現させたところ,GFP-AtPEP12はvam3変異体の表現型を完全に抑圧した.(3)AtPEP12プロモーターの制御下でGFP-AtVam3をvam3変異体に発現させたところ,GFP-AtVAM3はvam3変異体の表現型を抑圧できなかった.以上の結果から,AtVAM3とAtPEP12は機能が重複し,一定の条件下で互いの機能を代替できることが示された.本大会では,AtVAM3とAtPEP12の詳細な細胞内局在についても報告したい.
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© 2009 日本植物生理学会
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