日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナBOR1タンパク質の分解に異常を示す変異株の解析
*樋口 みなみ三輪 京子奈良 篤樹藤原 徹
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p. 0817

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抄録
小胞膜を介した細胞膜タンパク質の細胞内輸送は、動物や酵母で多くの解析が進められているが、植物で報告されている例は驚くほど少ない。我々は、植物における細胞膜タンパク質輸送経路を解明することを目指し、シロイヌナズナBOR1タンパク質を用いた解析を進めている。
シロイヌナズナホウ素トランスポーターBOR1は、ホウ素栄養欠乏条件下で細胞膜に蓄積する排出型のトランスポーターであり、ホウ素栄養十分条件下ではエンドサイトーシスによって液胞へ運ばれ分解を受ける。BOR1は、エンドサイトーシスによって分解されることが明らかにされた初めての細胞膜トランスポータータンパク質であり、細胞膜タンパク質分解系における理想的なモデル分子である。
CaMV35S-BOR1-GFP形質転換体シロイヌナズナを用いて、ホウ素十分条件においても高いGFP蛍光を示すことを指標に、BOR1タンパク質のホウ素濃度依存的な蓄積に異常をもつ変異株の単離を行った。57,150株スクリーニングし、マップベースクローニング法によりいくつかの変異原因遺伝子の同定に成功した。このなかにはAT2G34780(EMB1611/MEE22)が含まれていた。これら変異株の解析を進めることによって、植物におけるエンドサイトーシス経路ならびにホウ素応答制御機構について新たな知見を得ることが期待できる。
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© 2009 日本植物生理学会
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