日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネのホウ素輸送体BOR1の過剰発現によるホウ素欠乏条件下での収量の向上
*浦口 晋平花岡 秀樹相澤 加代子加藤 諭一中川 裕子藤原 徹
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p. 0818

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抄録
ホウ素(B)は必須元素であり、その欠乏症は,作物の収量・品質を低下させる。イネBOR1は,Bの排出型輸送体で,B欠乏時に根部から地上部への効率的なB輸送を担う分子である(Nakagawa et al., 2007)。本研究は,イネBOR1を過剰発現させ,B欠乏条件下でのイネの生育・収量の改善を試みた。
カリフラワーモザイクウィルス35S RNAプロモーター下流にイネBOR1cDNA-GFP連結しイネに導入した。得られた3つの独立なホモ系統の形質転換イネ(T2あるいはT3世代)を実験に用いた。このうち,2系統において導入遺伝子が高発現していた。B欠乏条件(0.18μM)で水耕栽培すると,導管液の B濃度は,BOR1-GFPを高発現している形質転換体では,非形質転換体および導入遺伝子の発現が弱い形質転換体に比べて 1.8-1.9倍高かった。B欠乏条件での収量は,BOR1-GFPを高発現している形質転換体において,非形質転換体および導入遺伝子の発現が低い形質転換体の1.7-1.9倍高かった。B十分条件(18μM)下では形質転換体は非形質転換体と同様の収量であった。これらの結果から,イネの内在性B輸送体BOR1の過剰発現によって,地上部へのBの輸送が向上し,B欠乏条件でのイネの収量が改善されることが示された。
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© 2009 日本植物生理学会
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