日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Sinorhizobium meliloti の複合体型cation/H+ antiporter のイオン選択性に関する解析
*山口 利男堤 文範高村 アキ宝輪 紀之廣井 真福原 正博中村 辰之介
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p. 0832

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抄録
pha1遺伝子群(pha1AB-G)は、根瘤菌Sinorhizobium melilotiが細胞内に寄生する際に必須の遺伝子群として同定された。変異体の表現型解析からpha1遺伝子群はK+/H+ antiporterをコードすると考えられているが、輸送活性の詳細はほとんど不明である。Pha1システム類似の複合体型cation/H+ antiporter(CPA-3 family)は、枯草菌を始め数種の細菌からも同定されているが、興味深い事に輸送活性が確認されているCPA-3 family輸送体の殆どは、Pha1システムと異なりNa+選択性が極めて高く、K+の輸送能は無いという報告がある。そこで我々は、異種発現によりPhaシステムのイオン輸送活性の詳細な解析を試みた。アルカリ及びNa+感受性の大腸菌株(TO114株、nhaA-, nhaB-, chaA-)にpha遺伝子群を導入した生育実験の結果、PhaシステムがTO114株のアルカリ及びNa+感受性を相補することを確認した。さらに、輸送活性の解析から、Pha システムがK+/H+ antiport活性を持ち、かつNa+/H+ antiport活性を持つという新規の知見を得た。またPha システムがアルカリ側に至適pHを持つこと、及びK+もしくはNa+に対するKm、VmaxがpH依存的に変化することを明らかとした。
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© 2009 日本植物生理学会
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