日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Ca2+透過性機械受容チャネル候補MCA1およびMCA2の組織化学的解析
*森 研堂中川 祐子山中 拓哉岩元 明敏飯田 秀利
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p. 0834

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抄録
根は伸長するとき、根端で土に接触しその強度を感受しつつ伸長方向を決定する。その接触のセンサーの一つとしてCa2+透過性機械受容チャネルが考えられている。最近我々はその有力候補としてMCA1およびこれとアミノ酸配列上73%同一なMCA2を報告した(Nakagawa et al., PNAS 104:3639-3644, 2007)。この報告で、1.6%寒天培地を下層、0.8%寒天培地を上層にした二層寒天培地においてmca1欠損株の根は野生株の根に比べ、下層寒天培地に入る割合が低いことを示した。しかし、今回mca2欠損株の根は野生株の根と同程度の割合を示すことを見出した。一方、この結果に関連して、MCA1p::GUSMCA2p::GUSを用いた組織化学的解析から興味深い知見を得た。すなわち、播種後10日目の植物体において、MCA1p::GUSは葉脈と根の維管束に加えて根端分裂組織で発現していた。それに対して、MCA2p::GUSは葉肉、葉脈および根の維管束に発現していたが、根端分裂組織には発現していなかった。根端分裂組織における両遺伝子の発現の有無は、mca1欠損株の根は寒天の硬さを感受できず下層寒天培地に侵入できないが、mca2欠損株の根はできるという結果をうまく説明できる。現在、より詳細な組織化学的解析を進めている。
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© 2009 日本植物生理学会
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