日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ユーカリmicroRNAの発現とそのターゲット遺伝子の同定
*加藤 友彦佐藤 修正金子 貴一中村 保一田畑 哲之日尾野 隆
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p. 0838

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抄録
microRNA(miRNA)は20-24塩基からなるnon-coding RNAで、真核生物において遺伝子発現を調節する分子として知られている。植物においてもmiRNAは形態形成や花成などさまざまな現象に関与していることが多数報告されてきた。私たちは樹木におけるmiRNAの機能を調べるため、これまでにユーカリmiRNAの探索を行なってきた。今回ユーカリから単離した低分子RNAの配列をもとにゲノムデータを調べたところ、ユーカリゲノムには236種からなる370のmiRNA候補の存在が確認された。これらの中にはシロイヌナズナやイネには存在しない多数の新規なmiRNAが見出された。次にこれらのターゲットとなる遺伝子をゲノムデータより調べたところ、65種のmiRNAに対して404のターゲット遺伝子候補または遺伝子断片が同定された。これらのターゲット遺伝子候補には、転写因子のほか耐病性遺伝子、ホルモン合成遺伝子、ペルオキシダーゼ遺伝子、オリゴペプチドトランスポーター遺伝子などが含まれていた。さらに4つのターゲット遺伝子候補についてRACE実験を行なったところ、4遺伝子ともmiRNA結合部位の中央付近で切断されることを確認した。以上のことより、ユーカリにおいてもmiRNAは遺伝子発現を調節する重要な分子としてさまざまな現象を制御している可能性が示された。
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© 2009 日本植物生理学会
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