日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ新規カチオン結合タンパク質AtPCaP2は細胞特異的に発現し細胞膜に結合する
*加藤 真理子長崎 菜穂子井出 悠葵前島 正義
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p. 0839

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抄録
AtPCaP2(plasma-membrane associated cation binding protein-2)はアミノ酸168個で構成される親水性のタンパク質であり、Caとホスファチジルイノシトールリン酸(PIPs)を結合する。本研究では、AtPCaP2の細胞内局在と遺伝子発現の細胞特異性について解析した。PCaP2::GFPをシロイヌナズナ培養細胞に発現させて蛍光を観察したところ細胞膜に緑色蛍光が観察された。PCaP2のN端にはミリストイル化シグナルが存在し、その結合残基となる2番目のGlyをAlaに置換したPCaP2G2A::GFPを発現させたところ、局在が細胞質に変化した。このことはこのGlyを介してNミリストイル化され細胞膜に局在することを意味している。またPCaP2プロモータ::PCaP2:GFPを発現させた形質転換体を観察したところ、根の成熟領域の細胞膜に緑色蛍光が観察された。さらにPCaP2プロモータ::GUSの解析によって、PCaP2は根の表皮細胞と根毛、花粉管で強く発現することが明らかとなった。PCaP2は環境要因の影響を受けやすい表層細胞に発現し、細胞膜上でCaやPIPsを介して生理機能を発揮しているものと推定される。なお、AtPCaP2は表層微小管に結合するMAP18として報告されており(Wang et al. 2007)、この点も考慮して考察する。
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© 2009 日本植物生理学会
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