抄録
病害抵抗性における防御反応では、MAPキナーゼカスケードが重要な役割を果たしていると考えられている。シロイヌナズナMEKK1 (MAPKKK)は、MKK1およびMKK2 (MAPKKs)、MPK4 (MAPK) と相互作用し、一連の経路MEKK1-MKK1/MKK2-MPK4を構成する。この経路は通常は防御反応を抑制する一方、感染時はシロイヌナズナの主要なファイトアレキシンであるcamalexin生合成系遺伝子の転写を促進させる。MEKK1はPAMPやH2O2によるMPK4の活性化に必須であるが、MEKK1の活性やタンパク質レベルがこの時どのような制御を受けているか明らかにされていない。
本研究ではMEKK1の制御因子を同定する目的で、MEKK1に結合するタンパク質をツーハイブリット法によりスクリーニングを行い、U-box型ユビキチンリガーゼであるPUB26を同定した。PUB26はユビキチンリガーゼ活性を有し、パラログであるPUB25と共に、MEKK1に特異的に結合した。また、pub25/26二重変異体を作製し、PAMPによるMAPKの活性化を解析したところ、野生型に対してpub25/26ではMPK4とMPK6の活性が低下していた。これらの結果から、PUB25とPUB26はMEKK1に結合し、活性を正に制御する可能性が示唆された。