抄録
280-320nmの波長領域の光(UV-B)は環境ストレスとして植物に様々な影響を及ぼす。我々はこれまでに,UV-B照射は,キュウリ(山東四葉2号)子葉の柵状組織細胞における葉緑体の配列異常や,柵状組織細胞の海面状化を引き起こすことを組織学的に明らかにしている。このことから,UV-B照射は,キュウリ子葉の細胞死を誘導する可能性が考えられる。近年,キュウリ子葉からマトリックス・メタロプロテアーゼ(MMP)をコードする遺伝子Cs1-MMPが単離され,その発現は子葉においてプログラム細胞死(PCD)がおこる直前に強いことが示された。MMPは,動物において,細胞外マトリックス(ECM)を分解する主要な酵素として知られている。本研究では,UV-B照射が誘導するキュウリ子葉の細胞死の可能性を調べるために,Cs1-MMPの発現解析と,DNAの断片化の解析を行った。その結果,Cs1-MMPの発現は,UV-B誘導性を示すことが明らかとなった。しかしながら,UV-B照射により影響を受けた15日目の子葉でも,DNAの断片化は認められなかった。UV-Bを照射したキュウリ子葉における細胞死の特徴について,さらに解析をする必要がある。