日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物の低温ストレス応答に関与する新規RNAマスキング機構探索と機能解明
*中南 健太郎南 杏鶴上村 松生田中 真帆諸澤 妙子石田 順子関 原明
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p. 0892

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抄録
植物は低温ストレスに対し馴化機構により適応する.その耐性機構解明を目的とした誘導性遺伝子の発現及び機能解析が重要課題である.これまでの研究で,その適応機構の1つがバクテリアから高等植物にまで保存されたRNAシャペロンによるRNA構造維持機構であることが明らかとなっており,転写後・翻訳調節が重要な機構の1つであると考えられた.転写後・翻訳レベルでの発現制御に関する最近の研究では,miRNA,siRNAによる分解制御に関するものが盛んに行われているが,mRNAの安定性,又は翻訳制御機構によるタンパク質の発現制御ついての研究は少ない.植物のストレス適応などの初期応答,あるいは環境の急激な変化に即座に対応するためにはRNA新規合成からではなく,機能本体であるタンパク質合成のみによる早い応答機構の存在が十分に考えられる.そこで本研究では低温ストレス応答時の転写後・翻訳調節機構に着目し,RNAマスキング機構探索と機能解明を目指した.RNAマスキングとは翻訳抑制によりmRNAを保持し,ある刺激により翻訳を開始する制御である.第一にRNAマスキングのターゲット探索・同定を目指し,シロイヌナズナを用いて低温馴化時及び脱馴化時における遺伝子,タンパク質発現の比較解析をマイクロアレイ,2D-DIGEを用いて行った.その結果いくつかのRNAマスキングターゲット候補が見いだされたので報告する.
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© 2009 日本植物生理学会
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