抄録
キサンチン脱水素酵素 (XDH) はプリン異化代謝の律速酵素として知られているが,その植物生理学的役割は必ずしもよく理解されていない。私たちは,シロイヌナズナ・ゲノムに存在する2つのXDH遺伝子(AtXDH1,AtXDH2)を標的としたRNAiにより,その発現抑制がキサンチンを過剰蓄積させるとともに,通常条件下で生育遅延,果実の縮小,稔性低下,老化の早期誘導などの多面的な変異表現型をもたらすことを明らかにした。また,生育遅延の原因がキサンチンの蓄積ではなく,その代謝産物の欠乏に因ることを示した。2つのXDH遺伝子のうち,主要な役割を果たすと考えられるAtXDH1はストレス応答性で,アブシジン酸処理や乾燥条件下で顕著に転写活性化されることが知られている。そこで本研究では,乾燥ストレス適応におけるXDHの機能を検証することを目的に,その発現抑制がシロイヌナズナの乾燥耐性に与える影響を調査した。その結果,RNAi形質転換体では乾燥処理により細胞死の割合が上昇するとともに,クロロフィル含量やバイオマスが減少し,乾燥ストレスに対する感受性が増大していることが観察された。これらの結果から,シロイヌナズナの乾燥ストレス適応におけるXDHの機能的重要性が示唆された。