抄録
塩および浸透圧耐性を付与するシロイヌナズナ転写因子キメラリプレッサーの単離を目的に本研究を行った。ストレスに応答する転写因子のキメラリプレッサー体を作出しストレス培地上における生育状態を評価した。225mMNaCl培地上では野生型植物の発芽率は30%以下に抑制され、その後も生育不可能だがAtMYB102、ANAC047およびGARP転写因子キメラリプレッサー体の発芽率はいずれも70%以上と塩耐性を示した。AtMYB102キメラリプレッサー体の下流遺伝子の発現プロファイルをマイクロアレイにて調査した結果、塩ストレスにより野生型植物でDREB1AやTINYの発現上昇がみられ、これらはAtMYB102キメラリプレッサー体において100倍以上増強されていた。また通常条件下においてAtMYB102キメラリプレッサー体はZAT11、AtMYB15などの発現が野生型植物より抑制されており、これら一連の遺伝子発現変化が塩耐性獲得に関与すると考察された。
浸透圧耐性は600mMマンニトール培地上における生存率で評価した。本条件下で野生型植物は生育不可能であるがAtERF5およびZnF転写因子キメラリプレッサー体は子葉が展開するなどの耐性を示した。AtERF5キメラリプレッサー体のマイクロアレイ解析を最近実施したのでその結果を報告する。また農薬耐性を植物に付与する転写因子についても合わせて紹介する。