抄録
乾燥ストレスを受けると、植物細胞内のアブシシン酸（ABA）濃度が上昇し、ABA誘導性の乾燥ストレス応答遺伝子群の発現が活性化されると考えられている。また、このABAによる遺伝子発現には、シス因子としてアブシジン酸応答（ABRE）配列が必要である。われわれのグループでは、シロイヌナズナにおいて、このABRE配列に結合して転写を活性化するbZIP型転写因子としてAREBファミリー遺伝子を単離し、これら遺伝子がABAを引き金とした水分ストレス応答において中心的な役割を果たしていることを明らかにした。本発表では、イネゲノムデーターベースおよびマイクロアレイを用いた解析から、イネのAREB相同遺伝子ファミリーであるOsAREB遺伝子ファミリーを同定した。推定されるOsAREBファミリータンパク質は、シロイヌナズナのAREBファミリータンパク質と同様にbZIP領域に加えて、N末端領域に3個、C末端領域に1個の保存領域を保持しており、高い相同性を有していた。また、水ストレス応答におけるOsAREBファミリー遺伝子の発現解析から、水ストレス誘導性のOsAREBファミリー遺伝子を特定し、その機能を解析した。イネにおけるOsAREBファミリー遺伝子の機能と役割について考察する。
