日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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3量体Gタンパク質の制御を受けるイネペルオキシダーゼ遺伝子の発現解析
臼井 太一原 修平藤澤 由紀子岩崎 行玄*加藤 久晴
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p. 0965

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抄録
3量体Gタンパク質αサブユニット(Gα)を欠くイネ矮性変異体d1では、白葉枯病菌やいもち病菌に対する抵抗性が低下しており、そしてGαの恒常的活性型を導入した形質転換体(QL/d1)では、これら病原菌に対する抵抗性が増加していることなどから、3量体Gタンパク質はイネの病害抵抗性に関与していると考えられている。加えて、QL/d1においては多数の防御関連遺伝子の発現が加齢にともなって誘導されるが、d1ではこの誘導が遅延していることが確認され、3量体Gタンパク質は加齢依存的な発現を示す防御関連遺伝子の発現制御に関与していることが示唆された。本研究では、3量体Gタンパク質を介した防御関連遺伝子の発現制御機構を解析するため、QL/d1において発現が誘導されていた、PRタンパク質の一つであるペルオキシダーゼ遺伝子POX22.3のプロモーター領域とレポーター遺伝子GUSを連結したコンストラクトを作成し、野生型イネ(WT)およびd1に導入した。得られた形質転換体の各葉位におけるGUS活性を比較したところ、下位葉ほど活性が上昇すること、そしてd1にくらべてWT由来の形質転換体において活性が高いことから、このコンストラクトが3量体Gタンパク質依存的および加齢依存的な発現を示すことが示された。また、WT由来の形質転換体へ白葉枯病菌を接種したところ、感染部位においてGUS活性が誘導されることも確認された。
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© 2009 日本植物生理学会
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