日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物転写因子OsNAC4により転写制御される遺伝子群を介した過敏感細胞死の誘導
*松井 弘善多賀 有里日比野 孝紀岩野 恵磯貝 彰蔡 晃植
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p. 0966

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抄録
我々はこれまで、植物の免疫反応の一つである過敏感細胞死の誘導に植物特有の転写因子であるOsNAC4が関与していることを明らかにした。OsNAC4による過敏感細胞死誘導機構を明らかにするため、OsNAC4の抑制株を用いたマイクロアレイ解析を行ったところ、139個の遺伝子の発現がOsNAC4によって制御されていることが示された。これらの中で、エンドヌクレアーゼ様分子をコードするIRENと分子シャペロンをコードするOsHSP90に着目して解析を行った。IRENの存在部位をGFP融合タンパク質で調べたところ、核に存在することが示された。また、IRENを過剰発現させたイネ培養細胞ではDNAの断片化が誘導されたが、膜の透過性喪失は認められなかった。このことからIRENがDNAの断片化に関与することが示唆された。一方、OsHSP90は小胞体に存在しており、OsHSP90を過剰発現させると膜の透過性喪失が認められるが、DNAの断片化は認められないことが示された。このようなOsHSP90による膜の透過性の喪失は、分子シャペロンの阻害剤であるGDAでの処理により抑制されたことから、OsHSP90の分子シャペロンとしての機能が膜の透過性喪失に関与していることが示唆された。以上のことから過敏感細胞死の膜の透過性喪失とDNAの断片化は異なる経路によって制御されていることが示された。
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© 2009 日本植物生理学会
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