日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物による細菌DNAの認識機構
*薬師寺 賢
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p. 0985

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抄録
動物は微生物特有の分子パターン(Microbe-Associated Molecular Patterns: MAMPs)の一つとして細菌の非メチル化CpG DNAを認識し,自然免疫を誘導する.本研究では大腸菌由来のプラスミドDNA,ゲノムDNAやニシン由来のゲノムDNAを用いてシロイヌナズナによる防御応答の誘導能を解析した.シロイヌナズナに各種制限酵素で完全消化したプラスミドDNAを処理し,活性酸素生成量の測定,カロースの沈着を解析した.その結果,EcoRI消化プラスミドDNAはこれらの応答を誘導したが,SmaIあるいはHapIIで消化したプラスミドDNAは低い誘導活性しか示さなかった.また,EcoRIで消化した大腸菌ゲノムDNAは上述の強い応答を誘導したが,ニシンゲノムDNAの処理は殆ど誘導活性を示さなかった.プラスミドDNAや大腸菌ゲノムDNAはFRK1の発現を誘導したが,メチル化によりその活性は低下した.更に,エンドサイトーシス阻害剤によってプラスミドDNAによるシロイヌナズナへの活性酸素誘導能が阻害させることを見出した.これらの結果は,非メチル化CpG DNAであるプラスミドDNAや大腸菌のゲノムDNAはシロイヌナズナに防御応答を誘導すること,DNAによる防御応答誘導にはエンドサイトーシスが重要なステップであることを示唆している.
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© 2009 日本植物生理学会
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