抄録
ナス科青枯病菌(Ralstonia solanacearum)に対する植物の防御機構、および発病に関わる植物遺伝子の単離と機能解析を進めている。本研究では、非病原性R. solanacearum(Rs8107)接種によって発現が誘導されるRsRGA4(R. solanacearum-responsive gene A4)に着目した。全長RsRGA4の推定アミノ酸配列にはN末端細胞外分泌シグナル、Bレクチン領域、PAN領域が存在し、アブラナ科植物のS糖タンパク質と相同性を示した。そこで、NtSGLP(Nicotiana tabacum S locus glycoprotein-like protein)およびN. benthamiana のオルソログNbSGLPとした。NbSGLPは細胞外型タンパク質であり、Agrobacteriumを介したNbSGLPの一過的発現によって、PR-1a、EREBPの発現が誘導された。NbSGLPサイレンシング植物ではRs8107接種によって誘導されるPR-1a、EREBPの発現が抑制されるとともに、非病原性R. solanacearumの増殖が促進された。さらに、病原性R. solanacearumの増殖のみならず、発病も促進された。以上の結果から、SGLPはR. solanacearumに対する防御応答に重要な役割を持つことを示唆された。